バーチャルコールとは、従来の電話回線ではなくインターネットを経由して届く通話のことです。経路の少なくとも一部で、銅線や携帯網の代わりにVoIPを使います。かけてきた相手が違いに気づくことはまずありません。番号の見え方も、電話の鳴り方もこれまでと同じだからです。
この言葉はかなり曖昧に使われているため、人が何を指して使っているのか、3つの意味を切り分けておく価値があります。
3つの意味
インターネット経由で運ばれる通話。 これが技術的な意味です。音声はパケット化されてIP上を流れ、相手が通常の電話機であればそこから従来の電話網へ引き渡されます。ビジネス通話の大半はすでにこの方式で動いています。
バーチャル番号への通話。 物理的な回線にも所在地にも縛られない番号で、実際にいる場所へ転送されます。オフィスを構えていない都市でも現地の存在感を出したいときに、企業はこれを使います。
バーチャル受付やエージェントが応答する通話。 ここでの「バーチャル」は、通話の運ばれ方ではなく応答する相手を指しています。これはまったく別の話で、バーチャル受付とはで解説しています。
ベンダーはマーケティングでこれらを平気で混ぜて使います。製品が「バーチャルコール」と謳っているときは、3つのうちどれを指しているのかを確かめるのが有効です。
実務で効いてくる理由
多くの企業にとって、この技術的な違いは何か問題が起きるまで見えません。そして問題が起きたとき、症状の理由を説明してくれるのがこの違いです。
品質を左右するのは電話会社ではなく自社のネットワーク。 従来の回線は予測できる形で劣化しました。インターネット通話は輻輳、ジッター、パケットロスによって劣化し、これらは時間帯によって変動し、たいていは自社側で解消できます。
所在地と番号が切り離される。 担当者はどこででも働けます。問題も同じで、遠く離れたリージョンを経由する通話はその道のりぶんの遅延を抱え込みます。だからこそ音声レイテンシは想定で済ませず、実際の経路で計測する価値があります。
機能がソフトウェアになる。 録音、ルーティング、文字起こし、分析は電話用ハードウェアであることをやめ、設定項目になりました。通話がIPへ移った途端にこれらが一気に出そろったのは、そのためです。
バーチャルコールの音質が悪くなる原因
ほぼ必ず次の4つのいずれかで、しかも疑われがちな原因はたいてい外れです。
ジッター — パケットの到着間隔がばらつく状態。バッファで平準化できますが、その分だけ遅延が増えます。
パケットロス — そもそも届かなかった音声。音切れや途切れとして聞こえます。
コーデックの不一致 — ネットワーク間で必要以上に何度もトランスコードされ、そのたびに音質が落ちる状態。
ラストワンマイル — インターネット回線そのものよりも、たいていは社内のWi-Fiです。帯域を増強するより有線の電話機を使うほうが、通話品質の苦情は多く解決します。
よくある質問
バーチャルコールとは何ですか? 従来の電話回線ではなくインターネット経由で運ばれる通話のことです。バーチャル番号への通話を指すこともあり、バーチャル受付が応答する通話を指す場合もあります。
バーチャルコールはVoIPと同じものですか? 技術的な意味で使う場合は、実質的に同じです。VoIPは土台となる方式であり、「バーチャルコール」はその日常的な呼び名です。
バーチャルコールは固定電話より安く済みますか? 通常は安く、特に長距離で差が出ます。距離に応じて課金されるのではなく、すでに料金を払っている回線を通るからです。
バーチャルコールの音質がときどき悪くなるのはなぜですか? ジッター、パケットロス、トランスコード、そして社内のWi-Fiです。インターネット回線は速度よりも安定性のほうがはるかに重要です。
今の電話番号をそのまま使えますか? 多くの市場では番号ポータビリティによって可能です。番号移行は移行作業のなかで最も時間のかかる工程になりがちなので、早めに着手する価値があります。




